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Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

【レポート】Woodturning Day 2026 を開催しました!

6月21日、ツバキラボにてWoodturning Day 2026を開催しました。岐阜での開催ですが、木工家ウィークNAGOYAの一企画としてエントリーさせていただきました。

午前は、木工旋盤の機械やCNC木工旋盤の実演を見ていただき、そして刃物などのツール類の販売も行いました。そして、午後には旋盤で活躍する木工作家、山本雄次さんと内田悠さんのお二人にご登壇いただき、作品作りの実演とトークセッションを行いました。午前・午後を通して想定を上回る大勢の方に参加いただきました。

このようなイベントを開催した思いもあわせ、イベントのレポートをしたいと思います。

木工旋盤を学ぶ機会が少ない日本

日本の木工旋盤業界について常に感じていることは、ほかのウッドターナーとの交流や技術を学ぶ機会が極端に少ないことです。ツバキラボは10年近く基礎レッスンプログラムを提供してきましたが、同じように体系立てて技術を伝える教室は1つか2つ程度です。書籍については長年、私の著書「木工旋盤の教科書」と川口康氏の「オールアバウトウッドターニング」しか存在しない状態で、最近ウッドワークセンターさんが出された「動画でわかる木工旋盤」が加わりました。

そして多くの方は、Youtubeなどの動画で様々なウッドターナーの作業している様子を見て、マネしながら学んでいるのが実情です。しかしプロの作家は作品作りをより効率的に行うために独自のテクニックを確立していくので、その本質を理解せずに動画で見たままをマネするのは危険です。

では海外に目を向けてみると、アメリカやイギリスでは地域ごとにクラブのようなものがあり、リアルな場で技術やツール類の情報を交換しています。互いに学びあう文化があり、道具類もそれぞれが開発したものを販売したりすることもあり、結果全体のレベルが底上げされていきます。

私は2度、アメリカのInternational Woodturning Symposiumに参加していますが、その熱気はすごいものがあります。様々な技術だけではなくビジネスについても直接プロから教えてもらえ、多くの木工旋盤愛好家たちが集い・交流する。参加費も3日間チケットで7万円以上します。2024年にはツバキラボのスタッフ全員で行き、いつかこのようなイベントを日本で開催するんだ、という思いを共有しました。(ぜひInternational Woodturning Symposiumのレポートもお読みください。

今回のWoodturning Dayはその第一歩なのです。

午前の部からたくさんの方が来場

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

今回開催して、まず大きな驚きだったのが午前からたくさんの方に来ていただけたことです。午後の部は申込制にしたため来場者数を事前に把握することはできましたが、「環境と道具を再定義する」と題した午前については申し込み不要で、どれくらいの人が来ていただけるのか事前にはわかりませんでした。どれくらいの人に来てもらえるか心配ではありましたが、杞憂でした。1時間前から駐車場に車が入り始め、開始時刻である10時前には入口前に列ができました。

木工旋盤の機械を見に来た人、CNC木工旋盤の実演を見に来た人、道具を探しに来た人、午後のイベントに申し込まれて午前から楽しみたいとお越しくださった人など、多くの人が集まり熱気あるスタートになりました。

機械については、主にRobust社のAmerican Beauty、Sweet16、Scoutの展示を行いました。入荷が間に合わずVicmarc VL150の第3世代であるV3のお披露目はできませんでしたが、導入のご相談も多くいただきました。

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

ツール類も実物を見て、相談しながら購入できる機会は日本では多くありません。木工旋盤の道具はECで購入することがほとんどです。そういう意味では、こういう道具販売も貴重です。実際に、どの刃物がいいのか、これはどう使うのかなどご質問も受け、実演しながらお見せすると、これは便利だといって購入くださる方もいらっしゃいました。

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

CNC木工旋盤の実演は常に人だかりで、たくさんの人に熱心に見ていただくことができました。この実演を目当てに来てくださった方もいて、うれしく思いました。

午前の部は、全体を通して、常に20前後の人がいたと思います。家族や友人と一緒に来てくれたり、この会場で知り合いに会って盛り上がったりなど、とてもにぎやかな時間でした。

午後の部「プロの視点、その背景に触れる」

午後はWoodturning Dayのハイライトであるプロの作家による実演とトークセッションです。山本雄次さんと内田悠さんは活躍する木工作家というだけではなく、私やツバキラボスタッフと同じ森林たくみ塾出身という共通点があり、そういう縁もあってお声がけさせていただきました。

午前12時でいったん会場を閉め、午前のレイアウトから午後のレイアウトへの変更はスタッフ総出で行いました。今回は、たくさんの参加者が集まる中、みなが同じように実演を見ることができるようモニターを2台用意し、カメラで撮影しながら映しました。またマイクで作家自身の解説も聞いてもらえるようにしたので、その配線が大変でしたが、事前の入念なリハーサルの甲斐もあり大きなトラブルもなく済ませることができました。

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

開場は12時20分でしたが、どんどんと埋っていく席。「まだ30分も前ですよ」と声がけするとみなさん苦笑いながらも、どんどん熱気が増していくのが伝わってきました。今回は30人定員を想定していましたが、最終的に37名の参加と大幅に増えました。近隣都道府県だけでなく、北は北海道、西は山口県、南は高知県からわざわざこのイベントのために来ていただけたのは、びっくりでした。

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

そして13時にスタート。
まずは実演です。

山本雄次さんのジャズのような即興で奏でる実演

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

山本雄二さんは、材料となる木材の個性を生かしながら大きな作品をつくります。今回はコアリングと大きめの入れ物(ワインクーラーより一回り小さいぐらい)の作品作りを披露してくれました。
大きな塊が見る見るうちにまるく削られていく様は圧巻です。この荒削りの手早さはプロならではのスピード感。外形の波打つ形状も音楽を奏でるようにリズミカルに削っていきます。

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

中ぐりでは、最初にコアリングを披露、、、と思いましたが、事前のセッティングが不十分で、うまくできませんでした。こればかりは悔やまれます。

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

しかし、山本さんはダメだと思ったら、さっと気持ち切り替え、すべて刃物で削り出すことに。時間的に難しいかなと思いましたが、中まで削り終えました。かなりの量を切削しなければいけなくなったわけですが、やはり早い。多少実演時間をオーバーしたわけですが、丁寧に解説を入れながら削っていったので、参加者も時間を忘れ、理解を深めながら見れたのではないかと思います。

参加者からのアンケートでは、山本さんの実演を「ジャズのように即興で木の個性と対話しながら削っていた」と表現してくださった方がいましたが、まさに私もおなじように感じました。

内田悠さんの研ぎ澄まされた感性が光る実演

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

内田悠さんの実演は山本さんとはスタイルが違い、いかに同じものを高いクオリティを維持しながら、早く削るかという点を突き詰めたスタイルです。2か月に1度程度で個展があり、1回の個展で300枚程度準備するというので個展だけで換算しても年2000枚程になります。そのほか、レストランやホテルからのオーダーなどもあり、いかにそれだけの数を身一つで捌いていくかという点で深化していった姿がそこにあります。

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

荒削りから仕上げ削りまで極力刃物を持ち変えることなく作業するため、刃物の選定からはじまり、刃物の形状も、ディテールへのこだわりと切削のスピードを追い求めた独自の形状に進化していました。荒削りでは大きな削りくずを出し、コンマ数ミリで仕上げるディテールでは、ツールレストごと刃物を握りわずかな動作を組み入れながら刃先を操り削る。これを1本の刃物でやっていきます。その素早さと高い技術に参加者も大いに魅せられたのではないかと思います。

今回は普段お使いのツールレストがなく、慣れない機械で慣れないやり方での実演になってしまいましたが、工程と技術の解説を丁寧に入れながら実演してくださったので、そのエッセンスはしっかり伝わったはずです。

(*今回、モニターやマイクの設置は一定の効果があり、参加者から好評ではありましたが、一方で中ぐりの際は刃先の動きが見えないなど、手元の視認性については次回への改善点として受け止めています。)

作家のリアルに迫るトークセッション

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

午後の部の後半は、私がMCを務めトークセッションを行いました。なぜ作家を目指したのか、創業期から作家としてキャリアを確立していくまでのストーリー、転機になった出来事、今の仕事のスタイル、海外やインバウンドの話、価値の生み出し方など様々な角度から質問をさせてもらいましたが、どれも丁寧に答えていただき、本当にありがたいです。

それぞれに異なる感性があり、考え方があり、スタイルがあります。これをやればOKということはありません。時代に合わせながら常に動き続け、目の前にある機会をチャンスとして捉えられるか。失敗や苦しみがなく成功するなんてことはありません。普遍的な法則があるとしたら、誰もが理想や夢を掲げる中、成功する人は成功するまで動き続け、成功しない人はあきらめた人です。参加者からは、このトークセッションからは多くの学びを得た、という声がとても多くありました。

Woodturning Day 2026 ツバキラボ 木工旋盤

トークセッション後は、じっくり作品を見たり、ほかの参加者と交流する時間となりました。

参加者の声

「お二人が実際に削られている様子を拝見できたことが何より貴重な経験でした。最前線で活躍されている方々の作品への向き合い方、とても刺激を受けました」
「予定外な事が沢山あったなかで、瞬間瞬間に適切な判断や対策、決断の連続のものづくりの勇気が美しかったです」
「聞きたいけど躊躇してしまう内容に触れてくださり、さらにお二人いらっしゃることで、それぞれの立場からのお話を聞けたことは大変刺激的で学びになりました」
「削り方や手の動きが見られてとても参考になりました。普段では聞けない木工作家として独立するに至った経緯が聞けてよかったです」

他にもたくさんのご意見、ご感想をいただきました。

最後に

長い一日ではありましたが、Woodturning Day 2026を開催できて、本当によかったと思います。
お忙しい中登壇いただいた山本雄次さん、内田悠さん、ありがとうございました。
また参加いただいたみなさんもありがとうございました。

皆さんからいただいた声をもとに、また次回の開催を考えていきたいと思います。

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